2012年2月3日金曜日

オンラインゲーム Vs コンシューマーゲームローカライズ


先日、海外のエル・パイス新聞紙からゲームローカライズに関する取材を受けましたが、先方から、「オンラインゲームとコンシューマーゲームの翻訳と、どちらやり易いか」と、質問がありました。 その回答は私達にはとても明白で、オンラインゲームの翻訳です。今回の記事では、その理由についてご説明させて頂きたいと思います。

オンラインゲーム翻訳とコンシューマーゲーム翻訳の主な違い

通常、あらゆるジャンルのゲームローカライズを一言で「ゲームローカライズ」と簡単に言う傾向にありますが、実際オンラインゲームと、コンシューマゲームのローカライズのプロセスは全く異なっています。

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1.コンシューマーゲームの翻訳を行う際には、守らないといけないルールが沢山あります。まず、それぞれのハードウェアーメーカー(ソニー、任天堂、マイクロソフト等)には、公式用語があり、翻訳は行う際、この用語を徹底的に遵守しなければなりません。例えば、「Bボタン」や、「リモコンを振る」といった簡単な訳でも、メーカーが定める決まった形で翻訳しなければなりません。しかし、各言語には、それぞれ全く異ったルールがあるので、これらのルールに慣れた翻訳者を使う意外に対応する方法はほとんどありません。

その為、いくら才能を持った翻訳者が現れたとしても、公式用語に慣れていない人であれば、仕事を依頼する事はまずありません。それは、いくら素晴らしい訳でも、公式用語の扱いに問題があるとゲームプロジェクトマスターは決してそれを承認しないからです。

一方で、オンラインゲームの翻訳は開発会社からよほどの依頼が無い限り、比較的に自由な翻訳が可能で、常に一番良い翻訳者を使って行く事が可能です。

2.次に何と言っても、納期がそれぞれ大きく違います。多くのコンシューマーゲームパブリッシャーは、リリースのスケジュールを立てて作業を行っているので,そこから逆算して「いつまでに翻訳を完了させなければ行けないのか」を決めています。その為、最初からマーケティングスケジュールも立ててある事が多く、とても厳しい納期が求められます。

逆に、オンラインゲームの場合は、ボリュームが多く、その分ゆとりのある納期が設定される傾向にあり、必ずと行っても良いほど、これは高品質に繋がります。

3.一度リリースしたコンシューマーゲームの内容は、基本的に変更する事は出来ません。テスティング作業でも見つからなかった不具合がリリースバージョンに含まれてしまった場合は、リコールをするかそのまま放置するかのどちらかしか選択の余地は無いです。

一方、オンラインゲーム開発会社は必要に応じて、いつでもゲームの内容を修正する事が出来ます。 このような理由で、殆どのコンシューマーゲーム翻訳者は保守的で、面白い訳文を作るよりも間違いのない翻訳作業に徹しています。

4.殆どのコンシューマーゲームパブリッシャーは、翻訳前にゲームのスクリーンショットを送ってくれるものの、ゲームを試遊させてくれる事は少なく、この条件で、翻訳者が正確な翻訳を行う事はとても困難です。簡単な例を上げると、英語で「FREE」としか書いていない原稿は、「無料」なのか、「自由」なのかを判断する事は、不可能です。

しかし、オンライゲームの場合は、既に市場に出ているゲームが多く、翻訳者は自由にそれをダウンロードして、試遊する事が出来ます。結果的に、翻訳者は商品に関してある程度の知識を持った状態で翻訳作業を開始でき、それは品質に大きいな影響を与えます。

5.弊社はフリーランス翻訳者と話す機会が多いですが、この話題になると、「コンシューマーゲームの翻訳は短納期で見直し時間が少なく、翻訳に不具合が生じた場合は責任が重すぎる。オンラインゲームは常に継続的だし、お客様は翻訳スピードよりは品質の方を重んじる」、と言った意見をよく聞きます。
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これを読んで頂いた皆様は、コンシューマーゲームのローカライズに比べ、オンラインゲームの翻訳の方がやり易い事をご理解頂けるでしょう。
また、コンシューマーゲームもオンラインゲームも、日本で作られた作品を海外に展開される場合、我々ゲームローカライズ企業が負うべき責任はとても大きいです。