2011年10月18日火曜日

今回はCURIOUSFACTORYの関口氏にインタビューを行いました。

欧米のゲーム市場は現在、「インディーズゲーム革命」が起こっているといっても過言ではない。ゲームをもっと自由に作れるチャンスだと、ゲームの「ジャンル」とゲームというものの定義自体をぶっこわして考え直したい小人数の素人のゲームメーカーや学生だけではなく、ベテランデザイナーやプログラマーもその「インディーズゲーム」の可能性を追求されている方が非常に増えている。
だが、日本においてその「インディーズゲーム」、いわゆる「同人ゲーム」という存在感はかなり異質である。海外においてインディーズゲームが成功しているプラットフォーム(Steam, XBLA, PSN, WiiWare等)は当然日本でもあるのですが、海外で起こっているゲームの多様化とされている源は殆ど海外の開発者から提供されていることが多い。この現象に対して要因を1つにしぼることは出来ないが、幾つか考えられる要因があります。
が、日本のゲームメーカーやインディーズデベロッパーがこの様々な流通チャンネルを把握し、インディーズゲーム市場において、日本で作られたゲームの認知度を上昇させ、成功させないわけでもありません。CuriousFactoryの関口敬文氏はそう確信されています。今回のインタビューにて、日本と海外のインディーズゲーム市場の相違、「サブカルチャー」や「オタク」との言葉の解釈する方法とそれぞれの文化の違い、そしてユーザーとパブリッシャーに対してもまだまだ未知世界のインディーズゲーム市場とその中にCuriousFactoryの位置付けと役目を取り上げて語っていただきました。
Active Gaming Media: CuriousFactoryの創設の経緯に関するお話をお聞かせいただけますか? 設立された当時の目標は? まだ開拓されていなかった市場やユーザー層をターゲットとされましたか?
CuriousFactory 関口敬文: 弊社はもともと、ゲーム、漫画、アニメ、同人、キャラクター産業といった日本のサブカルチャー・エンターテイメントの海外進出をサポートするべく生まれた企業です。日本のオタク市場の拡大とともに、海外ではサブカルチャー・エンターテイメント産業として日本のオタク文化が受け入れられるようになりました。そこで弊社が、日本の企業や同人クリエーターの海外進出のサポートができればと発足しました。同人の市場に関しては、海外ではまだまだニッチな市場で、これから発展していくマーケットではないかと考えています。ですが、日本の市場から同人クリエーターが海外に進出するには、販売経路を確保するための手続きの煩雑さ、その手続きにおける言語の壁、作品のローカライズなど、ハードルが数多く存在します。それらを弊社が一括で引き受けることで、クリエーターの皆様がもっと気軽に世界進出していただけるのではないかと考えております。

AGM: 特に海外市場の場合、インディーズゲームの売り上げと他市場やグッズの売り上げの繋がりははっきりしていませんが、他メディアや商品(アニメ、玩具等)を消費する「日本的」なゲームを好きなユーザーは意外と多いです。 どのような戦略を利用し、そしてその「繋がり」を把握しようとされていますでしょうか?

関口: 日本の商品に対する知識は、いまや海外の方も日本人と変わらないくらい得られています。戦略と言うほどの内容ではありませんが、私たちはお付き合いのあるクリエーターの方々との意見交換などで、日本のどのような作品に興味があるかといったリサーチを行なうことができます。もちろんクリエーターの方々でも、日本に対する知識が多い方も少ない方もいらっしゃいますので、偏りのない情報を収集しています。それらの情報は、日本のクリエーターの方とお話しする機会がある際に情報として提供させていただいたり、逆に日本のクリエーターの方が興味ある海外の作品の情報を、海外のクリエーターの方に聞いたりといったことで、情報交換を行なっています。

AGM: 欧米の同人ゲーム市場の現状は? 現在その市場に関してどう考えられていますか? 「潜在可能性」という点で、どのように分析されていますでしょうか?

関口: 欧米の同人ゲーム市場はまだまだ未発達の部分だと考えています。Direct2DriveやSteamといったダウンロードサイトが急速に発展しましたが、作品登録時における審査の厳しさなどを見ていると、日本のDLsite.comやDMM.comのように、同人ゲームを自由に販売できるシステムとはほど遠いといった印象があります。もっと気軽に、”制作した作品を発表し、販売できる”といった市場が開拓できれば、もっと同人ゲームや同人作品 (グラフィックやムービーなど)の市場が広がるのではないかと考えております。

AGM: ホームページ上のゲーム等に関して「日本のサブカルチャー」との言葉をよく拝見します。日本のインディーズ及び同人ゲームに対してその言葉はどんな影響を与えると思われていますか? ユーザーや消費者がCuriousFactory様の商品と連想する言葉として市場の中に御社の影響力を強化されると考えられますでしょうか? その反面、「日本のサブカルチャー」との言葉とリンクされているからこそ、一般的にゲームが好きな方に日本の同人やインディーズゲームを手にとって貰えないケースもあると思われますか? そのバランスをどう捉えられてますか?

関口: 日本の同人クリエーターの方々に『日本のサブカルチャー』という言葉がどう受け止められるかはわかりません。私たちは、日本の同人作品は、メインカルチャーではないと捉えています。日本での同人作品は2次創作物が多く、オリジナル作品は少ないと思います。この比率が逆転することで、メインカルチャーと呼んでもよい状態になっていると言えるのではないでしょうか。少し意味合いは違うかもしれませんが、たとえば、日本でサブカルチャー雑誌はあまり売れませんし、発刊されている雑誌の数も少ないです。これは『サブカルチャー』というものを日本人があまり受け入れないという感覚があるためだと思っています。一方で、欧米では『サブカルチャー』というものに対して、かなり寛容だと思われます。私たちが『日本のサブカルチャー作品』を販売するとリリースすると、興味を持っていただけるユーザーが数多く存在します。最近では、欧米でも『オタク作品』という単語で理解していただけるようですが、一般的な名称で言うとすれば『サブカルチャー作品』という言い方ではないかと考えている次第です。ただこの呼称については、『サブカルチャー作品』という言葉にこだわっているわけではないので、時代に応じて変化するモノだとも思っています。

AGM: 近年、非常に拡大した市場は何でしょうか。そして、意外なケースもありましたか?  日本のゲーム業界中の予想外の展開の影響でCuriousFactory様のビジネスモデルを変えられた時がありましたか? 3~4年前に想像されなかった現在携われている業務がありますでしょうか?

関口: 基本的な事業スタイルは変えていないつもりですが、3年ほど前から海外のクリエーターが日本で作品を販売したいというリクエストが数多く寄せられました。そこで私たちが、ローカライズと、日本の同人作品販売のWebサイトに登録するという業務を担当することで、海外のクリエーターを日本の市場でデビューさせるということを開始しました。もともと、日本のクリエーターが海外に進出して活躍してもらう手助けを……と考えていたのですが、逆に海外のクリエーターを日本に進出させるという業務も請け負うことになったといった感じです。

AGM: 国内と海外の「インディーズゲーム」というものに関する思考やイメージの相違をどう考えられますでしょうか。ビジネスやマーケティングの視点から考えるとその考え方の違いはかなり難しそうですが。

関口: 一番の違いは著作権に関する考え方ではないでしょうか。日本の同人作品は、2次著作物と呼ばれるものが大多数を占めています。これらはグレーゾーンの作品も含まれています。ただし、欧米の作品はオリジナル作品が多く、アイデアなどに優れた作品が多いと感じています。こういった権利問題の事情が絡んでいるため、日本の作品を海外に展開することはかなり難しいといった場合が多いです。ビジネスとして考えると、著作権をクリアーするためには、著作会社に対してのチェックやロイヤリティーなどが発生するため、個人レベルでの同人作品では許可を取ることすら難しい状態です。これらについては、同人クリエーターの方々の意識改革によって変化するものだと考えており、私たちがなにかアクションを起こして変わるモノだとは考えていません。現に、ASTRO PORT様などはオリジナルでクオリティーの高い作品を制作されており、Direct2Driveで販売も開始されております。このような作品が多くリリースされてくれば、日本のクリエーターの方々がもっと海外に進出され活躍される機会が増えるのではないでしょうか。

AGM: 日本の同人ゲームによく見られる「大人っぽい」内容は海外のゲームに一切存在しないというのが現状だと思います。他メディアのように幅広いジャンルやコンテンツを多様な作品にわたって共存する可能性はありますでしょうか? それを実現された場合、どんな流れで実現されると考えられていますか? そのプロセスの中にインディーズゲームの役目は? それか勇敢な大手パブリッシャーや開発会社しか導入できないでしょうか?

関口: たしかに大手パブリッシャーが関わるようなゲームでは、セクシーな表現を含む作品はほぼありません。ですが、たとえばアメリカでは表現の自由ということもあり、実写ビデオや一部PCゲームでも18禁作品やセクシーな表現がされている作品があります。また同人作品については、18禁タイトルが次々にリリースされており、弊社でも登録代行業務で扱っている作品は数多くありますので、今後成長する分野だと考えています。つまり、同人ゲームから18禁作品が広がっていくということは大いにあり得ると思われます。

AGM: 近年、プラットフォーム1つ(PC, iPhone等)で作り始めた小さいインディーズゲームがユーザーの目を惹き、そして多プラットフォーム開発となり、結局認知度が多くの大規模ゲームより上回って売り上げ的にも大成功となるケースが増えています。CuriousFactory様が携われているインディーズや同人ゲーム市場の範囲に似たような例がありますか? 日本のインディーズゲームに対してそのような現象の可能性はどう思われますか?

関口: 私たちが扱っている同人ゲームに関して言えば、PC対応のものがほとんどで、iPhoneなど携帯系ゲームはありません。携帯系ゲームに関しては販路がすでにできあがっているため、私たちの手を必要としないというところがあります。同人PCゲームに関して言えば、セールス的に成功している作品はやはりクオリティーの高い3DCGを利用した作品が多いです。同人作品ではiPhone、アンドロイド、PC、Xbox 360(XNA)といったマルチ展開をしている作品はまだまだ少数で、これからの市場ではないでしょうか。マルチプラットフォーム展開するには、クリエーターのプログラム知識などもかなり必要となってくるため、ハードルは高いと思われます。

AGM: 最近国内ゲームのみのDL Siteは日本同人ゲーム市場に浸透しようとする海外のゲームやクリエーターを招きいれ始めました。現在のステータスは如何でしょうか。多くの提供されたゲーム内容は日本同人ゲーム市場向けでしょうか? 又は、海外気味でしょうか? 基本的にSteamやDirect2Driveを通じて配信されているゲーム内容と同人ゲーム内容は殆ど違うと思いますが。

関口: 海外のクリエーターが制作する作品は、日本のプレイヤーに適しているとは言えないかもしれません。わかりやすい部分では、グラフィックデザインが一番違うと感じています。日本の”萌えキャラ”といった部分は、海外のクリエーターにはなかなか理解しづらい要素のようです。ですが、ゲームシステムや、グラフィッククオリティーの部分で言えば、日本のクリエーターの作品より優れた作品も数多く見受けられます。また”萌えキャラ”を理解しているクリエーターもいらっしゃいますので、今後もっと日本向けにカスタマイズされた作品は増えてくるのではないでしょうか。

AGM: CuriousFactory様のホームページ経由で直接販売するゲームはどう決められますでしょうか?全て、なにかしら携わられているゲームでしょうか?(ローカライズ、コンテンツ制作等)他の理由がありますでしょうか?

関口: 基本的にローカライズ依頼など、弊社にリクエストをいただいた作品を手がけています。また気になった作品についてはこちらからアプローチさせていただき、ローカライズなどをお手伝いさせていただいて、日本での販売、または海外での販売などを行なっています。

AGM: CuriousFactory様は、日本のゲームを欧米の流通チャネルに持っていくサービスを提供しています。販売店と組んで、多くの人に非常に日本っぽいと思われているゲームを、かなり違うゲームによって独占しているプラットフォームに持っていく経験は如何でしたか?

関口: 最初はまったくの手探りでスタートしましたので、売れる、売れないという想像すらつきませんでした。しかし、作品を手がけていくにしたがい、海外の作品を日本に、日本の作品を海外にと、どちらの場合でも、作品のクオリティーが高ければ、国境は関係ないということに気づきました。購入していただいているお客様も、最初は抵抗があるかもしれませんが、プレイしておもしろければ、それを正当に評価してくださっているという実感があります。それは販売本数にも表れているので、たしかな手応えを感じています。

AGM: 今まで、口コミ等で通じることでしか見つからないゲームが、メジャー流通チャンネルで購入できることに対してのプレイヤーの反応は如何ですか?

関口: Webによるダウンロード販売によって、販売数は増えていると思われます。口コミもいまや、TwitterやFacebookといったデジタルでの口コミになっていますので、情報の広がり方はさらに早く話題は一気に広まっているといった感覚です。

AGM: PC以外のプラットフォームに同人ゲームを持っていく可能性を検討したことはありますか?新しいプラットフォームの展開にあたって、どのような困難がありました?CuriousFactory様が提供しているのと同じようなゲームに取り組んでいる開発者は、従来PCのみの商品を別の顧客に持っていくことに抵抗がないと思いますか?このような展開は十分に可能と思いますか?

関口: ほかのプラットフォームへの展開は私たちは可能だと思いますが、実際のところはわからないといったほうが正しいかもしれません。私たちは作品のローカライズなどの担当であり、プログラマーでもグラフィッカーでもないので、マルチプラットフォーム展開の決定権はありません。各同人クリエーターの方が「マルチ展開をしたいので手伝って欲しい」というリクエストがあれば、いつでも協力させていただこうと考えております。

AGM: 日本の小規模で開発されたゲームが、海外のインディゲーム市場の急成長の波に乗る可能性に関しましてはどう考えられますか?

関口: 当然あると考えています。日本のクリエーターの方々は、日本のバランスの取れたコンシューマーゲームになれた方がほとんどです。そのような方たちが制作する作品ですので、クオリティーが高いものが多いと思います。ですので、欧米の市場でヒットする可能性は十分にあると思われます。

AGM: BladeEngineを提供するのは、ビジュアルノベルの開発を検討されている海外のインディーズデベロッパーを支援するかなり面白い方法です。要素が、たくさんの日本国内の人気ゲームにうまく浸透したジャンルでありながら、欧米ではビジュアルノベルは独立したジャンルとしてあまり認められていません。BladeEngineにはどのようなサポートがありますか?ここ何年かの間で、ツールの利用で日本以外の開発者にビジュアルノベルの創作増加が見えてきましたか?ツールのうまい利用で特に意外なコンテンツがありましたか?

関口: BladeEngineは、日本のゲーム制作会社にご協力いただき、提供していただいたエンジンです。コードを書くことができない人でも、気軽にADVを作っていただきたいという理由で、無料でダウンロードしていただき、自由に使っていただくという形でリリースしました。いくつかの作品はBladeEngineで制作されたようで、プログラムの改良をリクエストされたこともありました。そのリクエストを送っていただいたサークル様には、クリエーター様が考える作品の完成図にできるだけ近づけるようにと機能を追加したカスタム版のBladeEngineを提供させていただきました。その作品については、無料で公開されたようで、かなりの人がダウンロードしてプレイされたということは伺っております。

AGM: CuriousFactory様としましては、日本のゲーム市場内の他の法人と別の方法で、どれだけ市場進展に貢献する可能性を持っていると思いますか。

関口: 私たちができることは、大手の法人様であればできるようなことばかりかもしれませんが、クリエーター様との深い繋がりによって信頼を得られているものだと自負しております。今後もこのスタンスを崩さず、クリエーター様といい関係で制作を進めることで、多くのクリエーター様が海外に進出する手助けができるのではないかと考えています。

AGM: 最後に、CuriousFactory様の現在、若しくは将来の活動に関しまして、一言頂ければと思います。

関口: 海外でのマーケティング展開のご提案、海外のオタクイベントの出展登録代行、作品の翻訳作業など、今後も日本と海外の架け橋となるような業務を行なっていければと考えております。グローバルな展開をしていただくことで、クリエーター様の視野や考え方が必ず変わっていくものだと思っています。もし海外での展開にご興味があれば、ご連絡いただければと思います。
お時間を割いて頂きありがとうございました!
CuriousFactoryホームページ:
http://www.curiousfactory.com/home.php