2011年12月27日火曜日

翻訳のせいで夜寝れない


風祭龍之介
翻訳業界よ、何してくれてんの?!
「何してんねん?!オカンの言うことちゃんと聞きぃや!」

これは青目で金髪でカリフォルニア出身のおばさんの口から出る言葉じゃない。どう考えても。ありえない。

なのに、僕は最近のところ毎晩自分の母親にこうやって叱られてるんだ。うちの母親は確かに青目で、金髪で、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身である。来日したこともないし、日本語も当然喋れない。うちの母親の知ってる日本語と言えば、「アリガトウ」「サヨウナラ」「カワイイ」「マジデ?」「イチ、ニ、サン、シ」ぐらいだ。それなのに、こうやって叱ってくる。しかもすごいガサツな大阪弁で(自分の息子と一緒・・・)、すごい汚い口調で喋ってくる。正直、怖い。

これはもちろん現実ではなく、夢の中の話なんだけど、最近はこういう夢ばっかり観るようになった。なぜかというと、日中は翻訳の仕事をしてるからだ。

翻訳業界に入って数年しか経たないけど、一日中「翻訳」「通訳」「翻訳案件・翻訳者の管理」「翻訳の品質管理」「プルーフリーディング」といったようなことばっかりしてるから、会社から帰ってもやっぱり頭の中は「和英・英和」だらけ。眠ると夢の中では普段は英語しか喋らない・喋れない人物が急にすんげー日本語達者になって喋ってくるし、小学校の時の授業の夢を見ると教科書も日本語だし国語の授業も「カ・キ・ク・ケ・コ」なんか習ってるし、地元の町中の看板も表示も全部日本語化してしまう。

逆に、日本人の友達が現れると当然みんな流暢な英語喋ってる。。。


タイトルに書いてある通り、最近は翻訳のせいで夜はなかなか寝れない。でもそれは別に仕事上のストレスとか、就労時間の長さとか、そういう問題ではない。どちらかと言うと、夢が面白くて目が覚めてしまうぐらい笑ってしまうからだ。確かに保育士やってた頃も現実世界でクラブのDJとかホステスなどやってる友達とたまに夢の中で一緒にクレヨンで塗り絵、隠れん坊、靴の紐を結ぶ練習などすることもあったけど、なぜかこの業界に入ってからはこういう「職系」の夢が確実に増えた。最初は普通に面白かったけど、最近はどちらかというとちょっとした迷惑になってる。

「東京の夜空をマッハで飛ぶ」とか、「宝くじ当たって世界大統領に選ばれる」とか、後は定番の「要求不満の飯島直子と旅館デート」とか、こういった感じな夢はどうして見れないの?翻訳業界よ、お願いだから俺の真夜中のお遊戯の時間を返してくれ。というか、俺の睡眠時間も返してくれ。

自分のやってる仕事が好きというのは確かに素晴らしくラッキーなことだと思う。それに自分がちゃんと向いてる仕事をさせてもらえるというのもすごくありがたいことだし、嬉しい限りです。でもここまで入り込むと、やっぱりある意味少しへこむなぁ。。。

仕事ももちろん大事なんだけど、飯島直子が寂しがってるんじゃないか。

2011年12月21日水曜日

信用の低いお客様との付合いかた


最近、「翻訳をきちんと納期内に納品したのに、翻訳代金を支払ってもらえない」という相談を、多くの翻訳者の方から頂いております。こういった現状を踏まえ、この記事では、問題になるような顧客・翻訳者を見極めるためのアドバイスをご提供させていただこうと思います。
まず、今日の翻訳業界では、未払いの問題が増えているのは、下記の三つが原因であると考えられています。

1.ネット上での付き合いで、実際に顔を合わせることが少ないために軽視される
2.世界的な不況で、キャッシュフローが厳しくなっている翻訳会社が多い
3.特に日本では、翻訳会社はサービス業の一つとして見られている。このため、お客様に『この訳が違う』など理不尽な突っ込みをされても、反論せずに減額に応じる翻訳者や翻訳業者が多い。

もちろん、まともな契約書を交わしていれば、このような事態が起きる可能性も少なくなりますが、問題が起きる前に避けることができるのならそれが一番でしょう。

案件を受ける前にこれをよく読んで、受けるべき案件かどうかしっかり見極めましょう:


1)翻訳者としての対応
未払いや理不尽な要求を出す顧客を非難する前に、翻訳者側ご自身もきちんと対応しているかどうか一度再考してみてください。納期に遅れたり、連絡をきちんと取らなかったり、明らかに意味の通らない翻訳文を納品したりすれば、顧客に非難する材料を与えることになります。もちろん、こちらに落ち度がなければ自信をもって対応できますね。 

2) 顧客が翻訳作業に精通しているかどうか
翻訳作業に詳しくない顧客、あるいは業界の仕事のプロセスを熟知していない顧客は、短期間で膨大な量の翻訳作業を依頼するなど、現実的でない内容の案件を発注してくることもあります。案件を受注する前に、その顧客・翻訳会社が翻訳作業について精通しているかどうか確認すべきでしょう。

3)単価に無理ないのか
単価が適正価格でないケースもよく見受けられます。プロのフリーランス翻訳者であるにもかかわらずまるでアルバイトのような価格で案件を受けるはめになってしまうこともありえますから、単価を確認して納得のいかないものなら事前交渉するか、その案件を受注すべきでないでしょう。

4) 発注書
なかにはこれを正式に発行してくれないなんていう翻訳依頼主もいるとは思いますが、翻訳の仕事を円満に進めていくためには、翻訳者、依頼主双方にとって発注書はたいへん重要なものです。なんらかのトラブルがあった際に、発注書が手元にないと、万が一顧客が理不尽な要求・対応をしてきたても反論する際の証拠にできないからです。

2011年12月14日水曜日

ネイティブ翻訳者とそうでない翻訳者 ― 「あなたはどっち?!」


私は日本語のネイティブではありません。(つまり、日本語が母国語ではないということです)
 
私はアメリカで生まれ育ち、来日してからもう10年以上経ちます。
長年に渡るいわゆる日本語漬けによって日本語はそこそこでき、典型的な「外人なまり」があまりない(とたまに言われる)ので、普通に話していると日本人と間違えられることもよくあります。思ったことをサラッと日本語で言えるし、日本語を聞いてて普通に理解もできます。自分で言うのはなんですが、和英翻訳もそこそこ出来るし、外国人の中ではどちらかと言うと日本語が上手い方だと思います。でも、決してネイティブではありません。こういった文書になるとやっぱり違和感が多少あると思うので、本文書を読んで頂ければすぐに分かると思います。
 
日本語ができても、そして和英翻訳ができても、私はあくまでも英語ネイティブのアメリカ人なのです。だからお金をもらう仕事としての「英和翻訳」は絶対にやりません。
友人などに軽く頼まれて簡単な英文を日本語に訳したり、「意味さえ通じれば」というレベルの和英・英和通訳したりしますが、プロの翻訳者としてのプライドもありますし「この訳は100%あってます。」と自信を持って言えないとお客様に失礼ですし、迷惑をかけてしまうことになります。駄目なモノを出してしまうと会社自体のイメージも悪くなるので自分の上司や同僚にも悪いと思います。
 
「自分は偉いと思ってる」という風に聞こえるかもしれないですが、私的には以下がプロとしての2ルールだと思います:「自信を持ってできる!と言えない仕事はしない」ということと、「自分の限度をちゃんと承知する」こと。もちろん他にもありますが、こういったプロのルールを守れなければプロ失格だと思います。残念なことに、最近そうでない翻訳者も大勢いるように思われます……
 
私は翻訳者でもありますが、今は翻訳会社のプロジェクト・マネージャーをメインとして仕事をしています。だから色々な翻訳者と触れ合ったり、色々な言語ペアの案件を預かったりします。簡単に言えば、翻訳案件は会社の商品と一緒なので、お客様に納品する時にちゃんとしたモノを出したいに決まっています。そのため、翻訳者を探す時、まず第一条件は「ターゲット言語のネイティブであること」です。でも色々な翻訳者のプロフィールを見ていると、こういう感じのものがよく見られます:

「言語ペア:

日本語→英語・英語→日本語
中国語→英語・英語→中国語
中国語→日本語・日本語→中国語
中国語→韓国語……」

……などなど。しかもこんな多言語ができる上に、「どれもネイティブ(もしくは「ネイティブ・レベル」)だ」と言い張る方も結構多くいます。例えば、日本人とアメリカ人の親を持ち、完全にバイリンガルな環境で育ったというのであれば、これは理解できます。英語・日本語どちらともネイティブ・レベルであることは全然有り得るし、認められます。でも、一人の人で、例えば3、4、5ヶ国語わかる、出来ると言っても、その全言語のネイティブであるということはまず有り得ないと思います。物凄く上手いかもわかりませんが、どれも本当に「ネイティブと全く一緒」であるとは考えにくい、というか考えられません。
 
こういった方のプロフィールを見て、「自分でネイティブと言っていのでネイティブなんだろうな」と信じ込んでしまい、大失敗したことは何度かありました。とある言語ペアの翻訳を依頼し、返ってきたモノがめちゃくちゃだったり、納期まで間もないのに「ごめん、やっぱり出来ない」と急に断られたり……こういうシチュエーションはかなり困ります。駄目なモノを提出したとして後から怒られる私も困るし、イメージダウンする自分の会社も、また、修正の依頼をせざるを得ないお客様も困りますが、(言い方が少しきついかも知れませんが)簡単に言えばウソをついて儲けようとした翻訳者も、後から仕事をふってもらえなくなることで、その翻訳者自身も困ることになるのです。

ここで翻訳者の皆様に一つお願いしたいと思います:
とある言語において真にネイティブでなければ―例え自分で「ネイティブ*レベル*」だと思っているとしても―「自分はネイティブです」と言い張るのは辞めて下さい。

「本当のネイティブ」と「ネイティブ*レベル*」はやっぱり違うし、言葉の微妙なニュアンスや、わずかにしか変わらない言い回しの違いなどは、本当にネイティブでないと、完璧に解るとは言えないものも多くあると思います。なので、プロの翻訳者として活躍したいと思ってなく、ちょっとしたアルバイト感覚で翻訳をやっている人も、「プロ」とはいえプロとしてのプライドは別に持ってないという人も、生活が100%翻訳にかかっているという人は沢山います。そしてその中に、私みたいにプロジェクト・マネージャーとして生活が「他人の翻訳」にかかっている人も多くいます。なので、「ネイティブです」と言い張って完全にネイティブ・レベル以下のモノを出してしまうと、本人は別に良くても、本当に困る人もいるということを理解して頂きたいと思います。
 
翻訳納品物の品質が悪ければ悪いほど、当然会社の利益も減り、翻訳会社の利益が減れば減るほど、翻訳者に支払える金額も下がります。支払える金額が下がれば、雇える翻訳者のレベルも下がり、さらに駄目なモノを出し続けることになってしまいます。そうなると、結局終わりのないサイクルになってしまい、翻訳業界はいつまで経っても回復できなくなってしまうことになります。

これを避けるためには、皆さんに下記の2つのルールを守って頂くしかないと思います:「自信を持ってできる!と言えない仕事はしない」、そして「自分の限度をちゃんと承知する」ということは本当に大事です。ルールをみんなで正しく守り、頑張って翻訳業界を良くしていきましょう。それができれば皆が助かるので、ご自分の仕事用プロフィールを提出する前にちょっと考えてみて下さい。

一翻訳者からのちょっとしたお願いでした。よろしくお願い致します。

マーティン・ヘドリックス

2011年12月8日木曜日

在宅翻訳者として成功するには


在宅翻訳者としての道を選んだ人の多くは、自宅で仕事ができ、好きなだけ仕事ができると思いこの職業を選んだ人が多いことと思います。しかし、実際翻訳者として成功するのは本当に難しい事なのです。

自分はプロジェクトマネージャーとしての経験が長く、翻訳者から頂いた履歴書は数千通ありますが、10年間の間に使用した翻訳者は100人もいません。自宅で作業をして、好きなだけ働いて、月収40万円ぐらい稼げるような翻訳者は、非常に少ないのではないでしょうか。

この記事では、翻訳会社のプロジェクトマネージャーに、出来るだけ魅力的な翻訳者として映るための、幾つかのアドバイスを述べたいと思います。

1.きちんとした履歴書を送りましょう

どうやら、「どうせ在宅の仕事だから適当なものでもいいだろう」と、思う人が多いようですが、少なくとも私の場合は、まともな履歴書も作成できない翻訳者には高度な翻訳の仕事は依頼したくないですね。 
きちんと自分の強みをアピールし、どの会社にどういう風に貢献できるのかを書きましょう。

2出来るだけ電話を使用しましょう

プロジェクトマネージャーは常に急いでいるため、翻訳者とすぐに連絡を取り、安心したいものです。メールでのコミュニケーションはもちろん大事ですが、2週間に一度くらい電話でコミュニケーションを取ると、好印象にも繋がるし、プロジェクトマネージャーにも覚えてもらい安いです。

これは、馬鹿になりません。殆どのプロジェクトマネージャーは、ぱっと頭に浮かぶ翻訳者に仕事を振ってしまうことが多いです。
気に入ってもらえるように、営業はしっかりと行いましょう。

3.最初のうちは、気持ちで勝負!

自分の単価や業務時間に関し、強いポリシーを持つ事は大事ですが、特に最初の内は単価の安い仕事にも挑戦しましょう。

最初から余裕のある納期や、素晴らしい単価の大型案件は絶対来ないので、難しくて短い翻訳でもテキパキと片付けられるようなプロフェッショナルになりましょう。

4.翻訳業界に関する情報を、出来るだけ集めましょう

毎月のように新しいソフトウェアが発売されるし、流行のツールに関してできるだけ多くの情報を得る事はとても大事です。

5. 品質第一

最初の6ヶ月間は、単価やお金の事をあまり意識せずに、良い品質の仕事をお客様に提供する事に集中しましょう。

6. キャッシュフロー

請求書の郵送は納品と同時に行い、支払いに1秒の遅れでもあればすぐに問い合わせること。日本の翻訳会社は基本的に支払いが悪く、期限内に払ってくれる企業は極めて稀です。プロフェッショナルとして生きていくにあたって、キャッシュフローは大事なので、請求書の管理に関してはできるだけ真面目に取り組みましょう。

7.初期のころ、ツールやコースに投資しない

翻訳講座を受ける事は悪くありませんが、よくわからない翻訳学校に50万円支払う前に、ちょっとでも経験を積んでみましょう。高額な教材だけでなく、無意味な翻訳ツールも買わされる語学センターがあるので、ある程度業界の事を知ってからお金を投資しましょう。

8.向上心

翻訳者になった後でも、語学の勉強に力を入れて下さい。翻訳者の一番の武器は言語能力です。

職人のプライドを持ちながら、自営業のように行動をしましょう。